59話のネタバレ
福岡県北九州・小倉。「鉄善小学校のカー坊やろ?」「5年?」「6年や」「だれかれかまわずすぐ手を出す。中学生相手にカツアゲ、物は盗む…関わらん方がええ。ヤクザの息子じゃけぇ、あんな生き方できよるんじゃ」と噂されている。
そこに鉄善小学校6-3真島和弘(12)が「おーおー、ここは3組のナワバリやのお?誰に断ってここで球けりしよるんや」と言ってドンと現れる。サッカーボールを蹴っていた子は「ゲッ、カー坊や。すぐどくけん、ゆるしてくんないや」と言って逃げようとする。しかしカー坊は「“誰に断って”聞きよんのじゃ!!答えれやあ!!」と言ってその二人を蹴りまくっている。その様子を見て「あんなことしてるとそろそろ中学生の的にかけらるぞ…」と噂されている。
カー坊は夜の街を走っている。そして「なんねカー坊、また遊びに来たのかい。子供が出歩く時間じゃないよ」と言われても「うるせー、ババー」と言い返す。そしてゴミ箱の上に乗って窓の隙間から華やかににぎわっている店の中をのぞき込む。中では店の女性をはべらせながら「おうおう真島組は景気がええねぇ。当り前じゃ北九州最強武力を誇る男子たちは昼も夜もイケイケにきまっとろーが。イイ女抱いて、イイ酒呑んで、イイ車乗る。文句あんならかかって来いやバカタレがー」と言って真島組の者が大笑いしている。カー坊はその言葉を聞いて体を震わせて両手の拳を握りしめて喜んでいる。
カー坊は家に帰って「親父!!俺をっ…真島組に入れてくれよ!!悪いコトだって何だって出来る!!痛い目だって怖かねぇ。“イイ男”になりたいんや」と訴える。それを聞いて大堂亜会真島組若頭・真島哲弘(38)は「アホが。子供は友達と泥んこになって遊んどりゃええんじゃ。ま…手のつけられん暴れん坊になんやったらまともな社会に出てカタギの皆さんに迷惑かける前に“真島”の金看板で縛り上げたるわ」と答える。カー坊は「もう手のつけられん暴れん坊や!!」と食ってかかる。父は「の割にゃあ、ずいぶん顔がキレイやねぇか」と言う。カー坊が「それは…」と言葉に詰まると、父は「気付かんのか。秀樹の奴が先回りしてお前の敵を片ッ端から排除しよるんじゃ」と教える。カー坊は「え…!?」と驚く。
公園で「いい加減カンベンならねーな、カー坊の野郎」と言っている声が聞こえる。そこにガサッと草の中から姿を現す者がいる。「なんやビックリして…アレ…?こいつ鉄善中の…」と言いかけたところで、鉄善中3年真島秀樹(15)が「お前ら“カー坊”知っとるか…?」と言いながら草の中から歩いて出て来る。それがカー坊の兄だと気づいて「うわあああ兄貴が出てくんなや!!」と言うが、秀樹は「ほーか…知っとるんか…」と言って、そこには「うわあああ」と言う叫び声だけが響き渡っている。
続けて、カー坊は父に「俺の名前を聞いて潰し回っとる!?なんでそんなこと…。ていうか親父もどこでそんなこと耳に挟むんぞな」と聞き返す。父は「部屋住みの不良がベラベラしゃべりよるんじゃ。なんにせよお前は守られとる。“ヤクザの息子”っちゅー肩書とヤクザな兄貴に」と事実を告げる。カー坊はそのことを聞いてうつむいて難しい表情をしている。
カー坊は「アニキは…俺が物心ついた時からしょっちゅう外で誰かを追いかけまわしてて、家にもあんまりいねーからおっかねー兄貴と思ってたけど…意外と弟思いな人なんかな…頼ったら…案外ヤクザになることの手助けしてくれるかもしれない…」と思い少し嬉しそうにしている。そしてカー坊は「明日…町で兄貴のこと捜してみよ…!」と思いベッドに入る。
しかしカー坊が調べれば調べるほど、真島秀樹(アニキ)は凶悪な男だった。近所3つの中学を支配する「“無言の鉄砲玉(サイレンサー)”魔人・秀樹」と恐れられていた。秀樹は人との関わりをあまり持たず他人に興味を持たない、そんな男だからこそ少し嬉しいとカー坊は感じていた。アニキの関心が自分だけに向けられているように思えたからだった。カー坊はストリップの店が並ぶようないかがわしい場所に兄を捜しに来ていた。すると兄の横に女の人がいた。カー坊は「アニキの奴、女なんか連れてやんの」と笑いながら見ている。しかし次の瞬間、秀樹が一緒にいる女の顔をバシッと殴るのを目の当たりにしてカー坊は固まる。秀樹は振り向いて「おう和弘、こんなところで何しよんぞ」とカー坊に聞く。そして秀樹は「おう美和、てめーがこんなところでギャーギャーわめくから弟に恥ずかしいトコ見られちまったろうが。“龍”の受け渡し役ぐらいでウダウダ言ってんじゃねー」と言う。そして「そーや和弘。お前がちょっと手伝えや。敵しかおらん俺にとって和弘は俺を慕う唯一の存在やけ…何でもするよな…?のォ…カーくん」と言い出す。カー坊は驚いて「アニキを慕ってるって…なんでそんな風に思うんや?家にもおらん…ほとんど接点なかったやろ…」と聞く。しかし秀樹は「何言うとんのや…お前が無言で送り続けたメッセージちゃんと気づいとったぞ…?」と答える。その言葉にカー坊はゾッとする。「美和」と呼ばれた女の子も「ストーカーみたいなこと言い出した…」と思う。秀樹は煙草を右手に持ちながら「バカで愚かで脆弱で不出来な弟は俺がのし上げるしかないよのう。俺を慕っとるから…町で暴れ続けとるんやろ…?お前自身が証明しとるやんか…俺に守ってほしいって」と勝手なことを言い出す。カー坊は拳を震わせながら「誰が…慕うかよ…テメーなんか…俺の憧れる“イイ男”やねぇ…っつーか、アニキよぉ…“イイ女”殴ってんじゃねぇぞコラァ!“イイ女”は抱くもんとちがうんかあ!!」とたてつこうとする。秀樹は一瞬固まる。そして煙草を捨てて「全部…お前のためやんか…」と言って両手をカー坊の背中にスッと回す。秀樹は「お前を最強の男にするためやんか…わしは一人やないよのォ…?そう言ってくれや…カーくん」と言ってカー坊の身体をバキバキ鳴らし(折り)ながら強く抱きしめる。カー坊は「ぐああああああ」と叫び声をあげる。そして「アニキ…てめぇ…何を見失ッとんのや…」と言って足をバタバタさせて逃れようとする。秀樹は「見失ったんやなか…見つけちまったんや…“俺の理想像”ってやつを。弟(オマエ)の中でこの俺だけが最高であればそれでええんじゃ!!」と自分の勝手な思い込みの気持ちをカー坊にぶつけるのだった。
59話の感想(ネタバレ含む)
「WORST外伝 グリコ」59話を読んだ感想(ネタバレ含む)1
20代女性