39話のネタバレ
「私の最初の印象は、これがエリオ・サンチェス?本当に?」だった。黒猫はエリオと目が合って追いかけられた。その黒猫は「最凶監獄と呼ばれるヘルドラードで囚人を千人倒すほど強そうに見えないし、弟を殺すようにも見えない」とエリオの顔を見て感じた。そして黒猫を追いかけてきたエリオは剣で首をデボラに挟まれた。黒猫は「ほら、もうデボラに捕まっちゃったし」と思う。けど「エリオが強いのはすぐにわかった」見事にデボラの剣をかわしたのである。黒猫は「へぇやるじゃない」と思った。エリオの両腕に付けられた手錠につながったままの鎖が黒猫の前でジャラジャラ揺れている。それを見て黒猫は「何よそれ、私を釣ろうって言うの?私をそこらのメス猫と一緒にしないでよ、ちょっと何笑ってんのよ」と思いながらもその鎖に目を奪われて手を伸ばしてしまった。デボラがエリオとララを追ううちに、デボラはいろんな人(バルドやゴルディ、ラファロ、ウーゴ)に会って、先生に討ち勝ち、死に別れて、少しずつ笑顔が増えるのをその黒猫は見てきた。黒猫は「エリオと特にララのおかげ」だと思っている。ララは少し変わった子で、悪魔の使者だと言われる黒猫(わたし)を可愛がってくれたり、神の敵とされてる蛇を見てヨダレをたらしていたこともある。デボラにとっては初めてできた同年代の女の子の友達がララだった。2人はよく服やお菓子の話をしていた。黒猫である私は「ありがとう」という言葉が好きで「なー」と鳴いて、ララにもよく「ありがとう」と伝える。けど、ララは結構ふわふわしているので「なー」と鳴いても「何?パウラ。お腹すいた?エリオ捜してる?」などと言ってくるので、「ちゃんと伝わってるかな?伝わってるといいな」と思うのであった。
ララが「パウラ、デボラ見なかった?」と聞いてくる。「なー?」と鳴いて返事をする。デボラは放っておくとふいにどこかへ消えてしまいそうになる。温かい場所がかえって居心地が悪いみたいなのである。そんな時、私はエリオの側にいることにした。デボラは私を置いて行ったりしないから、そうすればデボラがエリオたちから離れることもないからと考えたのだ。するとララが手をあげて「あ!いたデボラ」と声をかける。デボラは何も言わずこちらを見ている。私は「なー」と鳴く。デボラににらまれようと、裏切り者と罵られようと不本意だけど受け入れよう、「あなた(デボラ)はきっとここから離れちゃいけないの」と伝えたいから。
いきなり石を投げつけられて「黒猫だ!殺せ!!悪魔の使いだ!!捕まえて焼き殺せ!!」と言われ追いかけ回されたこともある。黒猫は以前から人間に嫌われていたけど近頃は特にひどいのだ。それは黒死と呼ばれる疫病が悪魔の仕業だといわれているせいで、黒猫に対しても恐怖や憎悪をぶつけてくるようになったのだ。私が壁にしがみついて逃げようとしたとき、ゴッと顔に石をぶつけられながら庇ってくれたのはウーゴだった。そして石を投げていた男の後ろから股を蹴り「全くロクなもんじゃないわね、噂に踊らされるなんて」と言ってラファロも助けに来てくれた。ラファロは「大丈夫?パウラ、ウーゴ」と声をかけてくれた。私は「なー」と返事をした。ウーゴも「ありがとうございます。ラファ様」と感謝していた。
私は子供を産んだ。ララは「わー可愛い!!わー!わ!」と笑顔で喜んでくれた。ラファロは私をなでて「がんばったわねーえらいわねーアンタ」と褒めてくれた。皆、黒猫の誕生を喜んでくれる温かい人たちだ。3匹生まれた子猫のうち、チキとピッペはエリオとララが、体の弱いルシアはデボラが引き取った。デボラは戦地に行くことが多いからその間はララがまとめて面倒を見てくれていた。私は戦地に行くデボラに「なー」と鳴いて「気をつけていってらっしゃい、デボラ」と声をかけていた。するとデボラは「行ってくるわね、パウラ」となでてくれた。私は「ああ戦争なんて早く終わればいいのに」と思っていた。
私は「それにしても…大変そうだなあ」と振り向く。ララが3匹の子猫をかかえて「ああ服かじっちゃっダメよピッペ。そんな所昇ったら危ないよチキ」と面倒を見ていたのである。最近私は以前のように体が動かなくなった。子猫の世話を任せっきりにして悪いけどほとんど一日中寝てすごしている。だからせめて何度でも「ララ、ありがとう」と言う気持ちを伝えようと感謝の気持ちを込めて「なー」と鳴くのだ。
ララが「パウラ…?日も暮れたしそろそろ中に入る?」と声をかける。子猫たちもパウラがいる場所を見る。ララはその場所を見つめている。子猫たちは駆け寄っていく。パウラは亡くなっていた。
パウラの墓をララが作ってくれていた。花を供えてくれている。デボラはその墓の前にしゃがみ「そう、ナヘラに行ってる間に…」と言って、墓を見つめる。そして墓に手をあててデボラは「ありがとう、パウラ」とこれまで一緒にいてくれた感謝を伝える。
「フーッ」「カーッ」と言ってチキとピッペが喧嘩をしている。ララは「チキ!ピッペ!やめなさい!!」とルシアを抱っこしながら叱る。そしてララは「兄弟ゲンカなんてしちゃダメよ」と言う。チキとピッペは「なー」と返事をする。ララは悲しそうに「争いなんて早く終わればいいのにね…」と子猫たちを見ながら、本当の気持ちを言葉にするのだった。
39話の感想&考察(ネタバレ含む)
「逃亡者エリオ」39話の感想&考察(ネタバレ含む)1
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